交通事故での弁護士利用法10選
目次
【動画解説】 交通事故被害者が弁護士に依頼するメリット・デメリット
示談成立までの流れ
今回は、交通事故の被害にあったときに、どうやって弁護士を利用したらいいのか、弁護士利用法10選を解説したいと思います。
一生のうちに、交通事故の被害に会う事は1度あるかないかという位珍しいことです。
したがって、交通事故の被害者は、いろいろな疑問点があると思います。
どのくらい解決までに時間がかかるのか?
交通事故は、誰に、いつ、相談すればいいのか?
自分の慰謝料は合計でいくらになりそうなのか?
後遺症が残った場合の後遺障害等級認定というのは、どんな手続きなのか?
それでは、解説です。
交通事故の示談成立までの流れ
まず、交通事故の示談成立までの流れについて説明していきます。
これは怪我の場合と、死亡事故の場合で手続きが異なってきます。
死亡事故の場合には、死亡の時点で損害額が確定しますので、いつからでも示談交渉を開始することができます。
ただし、加害者の刑事事件が進んでいるときに、死亡事故の示談を成立させてしまうと、加害者の形が軽くなってしまうことがありますので、注意が必要です。
この点について心配になった被害者のご遺族は、どういうことなので、弁護士に相談して、間違った行動を取らないように気をつけましょう。
次に怪我の場合ですが、怪我の場合には、治療を終了しなければ、示談交渉を始めることができません。よく、治療をしている段階で保険会社と過失割合を交渉したり、慰謝料の請求をしたりする方がいますが、示談交渉は、治療が終了してからです。
なぜなら、治療が終了して初めて、損害額が確定するからです。
例えば、後遺症が残ったような場合、治療を終了した時点で、どのような後遺症が残り、それがどの程度に重いのかが明らかにならなければ、その後遺症に関する損害額を計算することができません。
そして、後遺障害の重さについては、後遺障害等級認定という手続きをとることになります。
これは、損害保険料率算出機構(損保料率機構)という機関が、自賠責の後遺障害の等級を認定する手続きです。
この後遺障害等級認定が間違っていることがあり、そのために、損害の計算が大きく違ってくることがありますので、注意が必要です。
そして死亡の場合にも怪我の場合にも、示談交渉が成立した場合には、示談書あるいは免責証書を取り交わしてへ示談交渉が終了しますが、その後、賠償金が保険会社等から振り込まれたら、その時点で交通事故が解決した、ということになります。
示談交渉が決裂した場合には、裁判のお手続きに入ってことになります。
裁判で和解あるいは判決により決着がついて、この場合にも保険会社等から賠償金が支払われた時点で交通事故が解決した、ということになります。
それでは、このような手続きの中で、交通事故の被害者が、どのように弁護士を利用していけばよいのかについて説明をしていきたいと思います。
交通事故の示談交渉というのは、法律問題であり、法律の素人では判断が難しい場面がいくつも出てきます。
そのような場合に、弁護士をうまく利用していただければと思います。
順番に説明していきたいと思います。
【参考記事】
交通事故の示談の流れを徹底解説
(1)死亡事故の刑事事件への参加で助言をもらう
まずは死亡事故の刑事事件への参加の場面です。
死亡事故のご遺族は、一定の場合には、加害者の刑事事件に参加することができます。
これを被害者参加制度といいます。
しかし、刑事事件に参加したことがある人はほとんどいないでしょうから、どのように刑事事件に参加すれば良いのか、意見を言うにしても、どのように意見を言えば良いのか、等についてわからないことが多いと思います。
このような場合には、刑事事件への参加の際に、交通事故に強い弁護士に依頼をすることにより、適切に加害者の刑事事件に参加することができます。
【参考記事】
交通事故の被害者参加制度とは
(2)正しい後遺障害等級認定かどうか、判断してもらう
2つ目は、後遺症が残ってしまった場合に、正しい後遺障害等級認定かどうか判断してもらうという利用法です。
後遺症が残った場合には、その先もずっと後遺症と付き合っていかなければならないので、精神的な苦痛を伴います。
したがって後遺症に対応する慰謝料を請求することができます。
また、後遺症が残ってしまった場合には、仕事に支障が生じますので、本来得られる収入が得られなくなる可能性があります。
したがって、後遺症が残った場合には、本来得られるはずだった逸失利益という損害を請求することができます。
この後遺症慰謝料や逸失利益を計算するには、後遺障害等級認定が何級何号で認定されるのかがとても重要となってきます。
そして、この後遺障害等級認定は、原則として、書面審査でなされますので、正しく医療記録と書面が提出されているかどうかが重要になってきます。
そのため、時として、この後遺障害等級認定が間違っている場合があります。
後遺障害等級認定が間違っていると、後遺症部分に関する損害の計算が大きく違ってきて、数百万円、場合によっては数千万円も賠償金に違いが出てくることがあります。
したがって、後遺障害等級認定が正しいかどうなのかを適切に判断しなければなりません。
この後遺障害等級認定が正しいかどうかの判断には、法律上の知識はもとより、自賠責後遺障害等級認定システムに関する知識や、医学的な知識も必要となってきます。
したがって、被害者本人が判断するのはとても難しく、交通事故に強い弁護士に相談して、適切に判断してもらうようにすることをお勧めします。
さらに詳しくは、こちらの関連記事をどうぞ。
【参考記事】
【後遺障害等級認定】弁護士に依頼する時の注意ポイント6つ
(3)異議申立を依頼する
後遺障害等級認定が間違っている場合には、異議申し立てという手続きをすることができます。
【参考情報】
「異議申立」国土交通省
異議申し立てにより、正しい後遺障害等級認定を認定してもらうことにより、賠償額の示談金の計算が正しく行われることになります。
この異議申し立てについても、異議申し立てが認められ、正しい後遺障害等級が認定されるような資料を添付して正しく主張をしていかなければなりません。
異議申し立てにも、後遺障害等級認定システムに関する知識や、医学的な知識が必要となりますので、交通事故の被害者には対応が難しいことが多いでしょう。
したがって、後遺障害等級認定に関する異議申し立てをする場合には、交通事故に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
【参考記事】
【後遺障害等級】思ったような認定が受けられない時の解決法
(4)慰謝料の計算を正確にしてもらう
後遺障害等級が正しく認定されたら、いよいよ示談交渉に入ります。
保険会社から示談金が提示されることが多いのですが、交通事故の被害者がこの示談金の計算が正しいかどうか判断することは難しいでしょう。
法律の知識、保険の知識、過去の裁判例の知識などが必要となるため、とても専門的な知識の領域です。
したがって、保険会社から、示談金が提示された場合には、一度交通事故に強い弁護士に相談し、自分がいくら慰謝料を請求することができるのか、確認することをお勧めします。
概算で慰謝料を計算してみたい方は、簡易計算機がありますので、ご利用ください。
交通事故慰謝料自動計算機(後遺障害等級別)
https://www.jikosos.net/calc01
交通事故慰謝料自動計算機(死亡事故編)
https://www.jikosos.net/calc02
(5)慰謝料増額事由を判断してもらう
そして、交通事故の慰謝料は、過去の膨大裁判例の集積によって、一定の相場が形成されています。慰謝料には相場がある、ということです。
しかし、中には、特別な事情があって、慰謝料が相場より増額されて裁判所に認定される場合があります。
それを慰謝料増額事由といいます。
どのような場合が慰謝料増額事由に該当するかについては、過去の裁判例を精査しなければなかなか理解ができません。
したがって、この点を交通事故の被害者が適切に主張していく事はなかなか難しいと思います。
自分の場合に、慰謝料増額中があるかどうかについて、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
【参考記事】
交通事故の慰謝料を相場金額以上に増額させる方法
(6)過失割合を判断してもらう
交通事故で、自動車同士などの場合には、両方動いてる自動車ということになりますので、双方に過失が生じることが多いです。
被害者に過失がある場合には、慰謝料等示談金の中からその過失の分を差し引く扱いをします。
これを過失相殺といいます。
具体的な交通事故の場合に、どの程度の過失割合になるのかというのは、とても専門的な知識となります。
したがって、交通事故の被害者が自分で過失割合を計算するのはとても難しいと思います。
自分にも過失がありそうな場合には、どの程度の過失割合になるのか、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
【参考記事】
交通事故の過失割合で損をしないための知識
(7)減額事由があるかどうか判断してもらう
交通事故の損害額の計算は、基準となる計算方法があるのですが、事情によっては、その計算から減額されてしまう場合があります。
例えば、交通事故で怪我をした部分に過去同じような怪我をしてことがある場合(既往症)とか、後遺症が残っているのに、収入の減少がない場合や仕事を継続できている場合など、保険会社側から、賠償金の減額を主張されることがあります。
そのような場合には、具体的な事情によって、減額されるかどうかが違ってきます。
これはとても難しい法律問題になりますので、交通事故の被害者が自分で判断するのは難しいでしょう。
したがって、そのような場合には、交通事故の強い弁護士に相談することをお勧めします。
【参考記事】
交通事故の慰謝料や逸失利益で注意するべき後遺障害
(8)示談交渉を代行してもらう
いよいよ示談交渉するという場合に、交通事故の被害者が、自分で交渉しても、なかなか適正な金額にならないことが多いです。
交通事故の賠償金には、3つの基準があると言われています。
1つ目は、自賠責基準というもので、自賠法によって認められる最低限の補償の金額のことです。
これは、実際の損害額がいくらになるかとは関係なく、法律の規定によって計算されることになります。
したがって、本来もらえる慰謝料よりも低い金額なのですが、時として、保険会社は、この自賠責基準で示談金を提示してくることがあります。
当然のことながら、被害者は、損害の計算が、特別な事情によって、自賠責基準の範囲内に収まらない限り、この自賠責基準で示談してはいけません。
2つ目は、任意保険基準です。
任意保険基準というのは、一般的には、自賠責基準よりは高い金額になりますが、それでも適正な金額とは言えないような金額のことです。
保険会社が、示談交渉の時に提示したしてくる金額がこの任意保険基準というものです。
3つ目は、弁護士基準です。
これは、裁判をしたときに、裁判所が判決で認めてくれる計算基準のことです。
交通事故の被害者は、できる限り、この弁護士基準で計算した示談金で示談をすることが望ましいといえます。
しかし、実際には、交通事故の被害者が頑張って交渉しても、なかなか弁護士基準で示談するのは難しいといえます。
なぜかというと、保険会社としては、被害者に対して支払う示談金を低くすればするほど利益が大きくなるために、示談金を低く抑えようとするためです。
そして、被害者本人では裁判を起こせないことが多いので、「この金額が限界です」と言い続けておけば、いつまでも示談金を増額する必要がないということになります。
ところが、弁護士が出てくると、示談金を適正金額にしないと、裁判を起こされて、弁護士基準で支払いをしなければならなくなります。
さらに、保険会社の方でも、弁護士をつけなければならなくなり、弁護士費用を余計に払わなければならなくなります。
そのために、弁護士が代理人として出てきた場合には、適正な弁護士基準で示談が成立することが多いということになります。
したがって、被害者が自分で交渉してもなかなか増額できない場合には、交通事故に強い弁護士に依頼して代理で示談交渉してもらうことをお勧めします。
【参考記事】
【弁護士基準】交通事故の慰謝料をできるだけ高額で示談する方法とは?
(9)裁判を依頼する
保険会社と示談交渉しても、どうしても保険会社が譲歩せず、適正金額にならないという場合もあります。
これは弁護士が交渉してもそういう場面があります。
そうなると、解決は裁判に持ち込まれることになります。
裁判は、極めて専門的な知識が要求されますので、交通事故の被害者本人で裁判を行うのは難しいと思います。
したがって裁判を起こす場合には、ぜひ交通事故に強い弁護士に依頼して裁判を行うようにお勧めしたいと思います。
【参考記事】
交通事故の裁判で得する人、損する人の違いとは
(10)煩わしい示談交渉から解放される
交通事故の示談交渉を、弁護士に依頼することにより、その後の示談交渉の窓口は全て弁護士になりますので、被害者は、交通事故の示談交渉から解放されることになります。
そして、弁護士は、その専門知識により、示談を進め、弁護士基準という適正金額になるように努力をしますので、安心して任せることができます。
このような、示談交渉から解放されるということを求めて、弁護士に依頼する人も多いので、一度検討することをお勧めしたいと思います。
以上、交通事故の被害者による弁護士利用法10選を解説しました。
交通事故に強い弁護士の探し方
では、どのようにして交通事故に強い弁護士を探せばよいでしょうか?
今は、多くの法律事務所がホームページを開設していますので、交通事故専門のホームページを探してみるところからはじめてみましょう。
そして、いくつかのホームページを見比べてみて、次の点に注目してみてください。
【交通事故に強い弁護士の特徴】
・交通事故に関する法律専門書を出版している
・テレビのニュース等から「交通事故の専門家」として取材を受けている
(バラエティ番組はダメです)
・実際の解決実績が豊富に掲載されている
・代表の弁護士経験年数がある程度長い
以上のようなポイントを見て、交通事故に強そうかどうか判断することをおすすめします。
弁護士に相談するメリットと注意点を更に知りたい方は、こちら。
【参考記事】
事例でわかる!交通事故で弁護士に依頼するメリットとデメリット
代表社員 弁護士 谷原誠