交通事故の謝罪文の書き方。加害者になった際の適切な行動とは?
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交通事故の加害者となった場合、被害者に誠意ある対応をしなければなりません。
心情的な問題はお金で解決することはできませんし、対応が不誠実だと思われてしまうと、その後に行う示談交渉にも影響を及ぼします。
本記事では、交通事故で加害者となった際の謝罪文の書き方と、作成上の注意点について解説します。
交通事故で加害者が謝罪文を書く理由
交通事故の加害者は、被害者が被った損害を補償することになりますが、損害の補償だけでなく、謝罪する意思を示すことも大切です。
謝罪文を作成する意味
謝罪文は、自分で起こした交通事故で被害者に怪我などの損害を与えたことをお詫びする目的で作成します。
交通事故に遭った被害者は怪我など肉体的な損傷だけでなく、精神的な損害も被っており、たとえば自動車同士の事故であれば、交通事故が原因で運転するのに恐怖を覚える方もいます。
歩行者として交通事故に遭った被害者は、車の近くを歩けなくなってしまうトラウマを抱えるなど、精神的な被害も大きいです。
加害者が被害者心情を完全に汲むことはできませんが、交通事故を起こしたことを謝罪することでお詫びする気持ちを伝え、被害者の苦痛を少しでも和らげなければいけません。
加害者にとっても謝罪文は必要
交通事故の加害者になった場合、過失運転致死傷罪などの犯罪が成立し、刑事処罰を受ける可能性があります。
この時、被害者やご遺族が処罰に関してどのような感情を持っているかも斟酌されます。
できるだけ処罰感情を和らげるために、謝罪文を書くことも一定の効果があります。
また、交通事故に関する被害を補償するとなった場合、話し合いを少しでも円滑に進めるために、加害者と被害者の関係性は重要です。
交通事故の謝罪文は、被害者にお詫びする気持ちを伝えることが大前提であり、その気持ちを疎かにして謝罪文を書いても意味がありません。
事務的な手続きだけで済ませようとすれば、被害者が感情的になり、示談に応じない可能性も出てくるので注意が必要です。
一方、加害者が誠意をもって対応することにより、示談交渉が進めやすくなることも事実なので、被害者への謝罪は加害者にとっても必要な行為です。
交通事故の加害者が作成する謝罪文の書き方
謝罪文は、加害者が伝えたい内容を前面に押し出してはいけませんし、内容が簡潔過ぎても誠意が伝わりにくいので注意してください。
手紙は直筆で書くことが必須
交通事故の謝罪文は、必ず加害者が直筆で書いてください。
現在社会では手紙を書く習慣は少なくなり、文章はパソコンやスマホで作成することがほとんどです。
パソコンであれば文章を何度も修正できますし、字が整っているので読みやすいですが、受け取った被害者は誠意を感じにくいです。
直筆の文章は仮に字がキレイでなかったとしても、謝罪する気持ちが伝わりやすくなるため、誠意を感じにくいパソコン・スマホで書くのはやめてください。
被害者を気遣う言葉をしたためる
謝罪文で最も大切なのは、被害者に対して謝罪する気持ちです。
謝罪文なので、お詫びする気持ちがあること自体は被害者も認識していますが、その気持ちを伝えるために手紙を渡すので、手紙はお詫びする言葉から始めてください。
また、文中では交通事故を起こしたことに対する謝罪だけでなく、相手を気遣うことも大切です。
文章の中に少しでも、誠意が感じられない部分があれば、謝罪文としての意味は失われますので、最初と最後は謝罪の言葉を連ねるのもポイントです。
交通事故に至った経緯を説明する
交通事故は突然発生しますので、被害者はどのような出来事が原因で事故が発生したのか把握したい気持ちがあります。
そのため、謝罪文の中で交通事故が発生した経緯を説明し、加害者が本来取るべきだった行動を言葉で示してください。
たとえば、高速道路の渋滞で追突事故を起こした場合、渋滞で気が緩んだことで前方車の停止に気が付かず、追突したことへの謝罪と、渋滞に対する認識が甘かったことなどを書くことになります。
長距離運転で注意力が散漫になっていたことで信号を見落とし、交通事故を起こしたときは経緯だけでなく、注意力が散漫になったと感じた時点で休憩を取るべきだったと反省の弁も述べてください。
交通事故を起こしてしまった気持ちと反省する意思を伝える
交通事故の謝罪文は自らの過ちをお詫びする目的がありますので、反省する気持ちを伝えることも大切です。
交通事故は加害者に全面的な非があるケースもあれば、被害者に一部非があるケースも存在します。
しかし、謝罪文の中で被害者にも非があったと書いてしまうと、被害者の感情を逆なですることになり、謝罪文を渡したことが逆効果になってしまう可能性もありますので、加害者の過ちのみに焦点を当てるように書いてください。
- ●交通事故を起こした責任を感じていること
- ●何に対して謝罪しているか明確にする
- ●再発防止のために今後どのような対応を取るかを示す
交通事故の謝罪文を出すタイミング
交通事故の謝罪は1日でも早く行うことが必須であり、事故の翌日から3日以内に行うことが一つの目安です。
被害者が重症の怪我を負っていれば、事故直後に謝罪する気持ちを直接伝えられない可能性もありますが、手紙であれば面会せずに渡すことができますので、謝罪する意思を早期に示してください。
交通事故の謝罪文の例文
この度は、私の不注意により〇〇(被害者)様の車に追突してしまい、大変なお怪我をさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
多大な恐怖心を負わせてしまい、大切なお車に傷をつけてしまったことにつきましても、重ねてお詫び申し上げます。
追突事故を起こしてしまったのは、仕事の関係で職場に急いで戻らなければならない気持ちが焦りを生み、ブレーキを踏むのが遅れてしまいました。弁解のしようもございません。事故は、私が安全確認を怠ったことが原因であり、私の過信と油断で多大な被害を与えてしまったことを、今更ながら痛感し深く反省しております。
今後は二度と事故を起こさないよう対策を講じ、常に気を引き締めてハンドルを握る所存です。
直接お詫びを申し上げたいと思いましたが、〇〇様のご迷惑になるかもしれないと思い、このようなお手紙を差し上げまして、何卒お許しください。
略儀ではありますが、書中にてお詫びとお見舞い申し上げます。
〇〇様のお怪我が1日でも早く回復することを願っております。
謝罪文に書いてはいけないこと・注意点
謝罪文は記載する内容はもちろんのこと、手紙の大きさや色などにも注意を払わなければいけません。
示談に関する内容は記載しない
謝罪文は、被害者にお詫びすることが目的ですので、示談に関する内容を書くことは厳禁です。
加害者にとっては謝罪することで被害者に心を開いてもらい、示談を円滑に進める目的もあります。
しかし、謝罪文から打算的な目的が伝わってしまうのは、被害者の心情を悪くしますので、示談に関する事項は一切記載しないでください。
定型文をそのまま用いない
インターネットを検索すれば、謝罪文の定型文が見つかりますが、定型文や例文をそのまま用いることをしないでください。
定型文は文章が整っていますので、謝罪文としてはキレイな形になります。
ただ、謝罪文は文章の洗練さを求めるものではなく、謝罪する気持ちを伝えるために書くものであり、形式的な謝罪は逆効果になってしまうことも考えられます。
定型文や例文を参考にするのは問題ありませんが、交通事故の経緯や反省の弁、被害者に対してお詫びする気持ちを自分の言葉で表すことが最も大切です。
使用する封筒・便箋・ペンの種類
謝罪文は文章だけでなく、封筒や便箋にもNGがあります。
謝罪文を書く便箋に正式なサイズはありませんが、基本的に便箋は白を使用し、柄や色が付いた便箋は用いないでください。
封筒は長型3号、A4サイズの用紙が三つ折りで入るものが好ましく、封筒も白の無地が基本です。
ペンは黒・濃紺を使用し、記載ミスがあれば必ず書き直しをしてください。
交通事故の知識を解説しています
代表社員 弁護士 谷原誠