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自転車走行中のイヤホン使用は違反になるのか?

最終更新日 2024年 12月19日

居眠り運転事故による罰則や違反点数は?慰謝料の相場も解説

この記事を読むとわかること

 
イヤホンを装着して自転車を運転している人を見かけたことがあるかもしれませんが、イヤホンを装着したままの走行は道路交通法違反となる可能性があります。

自転車を運転している人との接触事故が発生した場合、被害者も適切な行動を取らないと損害賠償金の額が減る可能性もあるので注意が必要です。

本記事では、イヤホンを装着して自転車を走行することに対する罰則と、実際に起きた交通事故の事例、自転車との交通事故が発生した際の対応方法について解説します。

本記事は、令和6年12月15日時点の法律に基づいて執筆しています。

自転車走行中にイヤホンを装着した場合の罰則・罰金

自転車は道路交通法上では「軽車両」に該当するため、歩行者とは交通ルールが異なります。

自転車に対する交通ルールは厳しくなっており、令和6年(2024年)11月から、自転車運転中(停止している間を除く)に、スマホでの通話や画面を注視する「ながらスマホ」に対しての道路交通法の罰則が強化されました。

自転車運転中に「ながらスマホ」をしたときは、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金、自転車運転中の「ながらスマホ」により交通事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合には、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます

道路交通法において、イヤホンを装着した状態で自転車の運転を禁止する直接的な規定はありませんが、各都道府県の条例や規則等でイヤホンを装着して安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転することが禁止されていることがありますので、ご注意ください。

そして、イヤホンやヘッドフォンを使用したことで、安全な運転に必要な音または声が聞こえない状態で運転したと判断された場合、道路交通法第70条(安全運転の義務)違反として、5万円以下の罰金が科されます

なお、道路交通法の改正では「ながらスマホ」の罰則強化等が行われただけでなく、自転車の交通違反に対して反則金を納付させる、「青切符」による取締りの導入も規定されました。

交通違反となる行為は113種類もあり、違反した際の反則金は5,000円から1万2,000円程度になることが予想されています。

青切符による取締りは16歳以上が対象で、令和6年(2024年)5月24日から2年以内に施行される予定です。

イヤホンの種類や装着方法によって罰則の適否は変わるのか

世の中には色々なイヤホンが存在しますので、イヤホンの種類ごとに罰則の適否をご紹介します。

片耳だけにイヤホンを使用している場合

片耳だけにイヤホンを装着し、一方の耳で周囲の音を聞こえるようにしていたとしても、道路交通法や都道府県の条例・規則(以下、道路交通法等)違反になる可能性があります。

イヤホンの装着が片耳だけでも、大音量で音楽を聴いていれば注意力が散漫になりますし、イヤホンからの音が原因で運転操作を誤る可能性も否定できません。

道路交通法や各都道府県の道路交通規則では、自転車走行中のイヤホンの装着方法について両耳または片耳などの記載はないため、片耳だけにイヤホンを装着している場合でも、安全運転ができないと判断されたときは安全運転義務違反となります。

そのため、無用なトラブルを避けたいのであれば、イヤホンを装着しながら自転車を走行するのは避けた方が無難でしょう。

イヤホンの音量を抑えて
使用している場合

イヤホンを装着しての運転が道路交通法の違反になるのは、イヤホンの着用が安全に運転することに影響を及ぼすと考えられているからであり、イヤホンの装着自体が道路交通法等に違反するわけではありません

イヤホンの音量を抑えれば周囲の音も聞こえますので、安全に自転車を運転できると思われるかもしれません。

しかし、小さな音量でも周りの音は聞こえにくくなりますし、音楽を聴きとるために耳に意識を集中させることで、かえって注意力が散漫になってしまいます。

また、装着しているイヤホンが密閉型の場合、装着しているだけで聞こえにくくなりますので、注意が必要です。

骨伝導型・開放型イヤホンを
使用している場合

骨伝導型や開放型のイヤホンは、周囲の音も聞こえるように設計されていますが、こちらも道路交通法等に違反する恐れがあります。

道路交通法等ではイヤホンの種類に規定がないため、骨伝導型や開放型であったとしても、イヤホンをして安全な運転に必要な音または声が聞こえないような状態で自転車を運転する行為は、道路交通法等に違反する可能性があります。

ワイヤレスイヤホンを使用している場合

有線イヤホンは、コードが絡まることもあるので、ワイヤレスイヤホンを使用している人もいます。

ワイヤレスイヤホンであればコードを原因とする事故は発生しませんが、イヤホンに対する規制は、コードの有無ではなく、イヤホンにより音を聞くことにポイントが置かれていますので、誤解しないようにしてください。

自転車走行中のイヤホン装着を
条例等で禁止している都道府県

ほとんどの都道府県においては、条例・規則等でイヤホンを装着しての自転車の走行を直接的に禁止しています。

道路交通法では、イヤホンを装着した状態での自転車の走行を直接禁止する規定はありませんが、道路交通法第70条(安全運転の義務)で実質的にイヤホンやヘッドフォンを装着しての走行を禁止しています。

<イヤホンを装着しての自転車の運転を禁止している主な都道府県>

都道府県 禁止を定めている法令
東京都 東京都道路交通規則第8条5号
北海道 北海道道路交通法施行細則第12条6号
大阪府 大阪府道路交通規則第13条5号
京都府 京都府道路交通規則第12条12号
千葉県 千葉県道路交通法施行細則第9条7号
神奈川県 神奈川県道路交通法施行細則第11条5号
埼玉県 埼玉県道路交通法施行細則第10条7号
愛知県 愛知県道路交通法施行規則第7条4号
広島県 広島県道路交通法施行細則の第10条10号
愛媛県 愛媛県道路交通規則第12条6号
福岡県 福岡県道路交通施行細則第14条8号

イヤホン使用が原因で発生した
自転車の交通事故の事例

イヤホンを装着した自転車が捕まった事例としては、平成27年(2015年)6月に千葉県内で発生した死亡事故があります。

加害者である大学生は、音楽を聴きながら自転車を運転している最中、路面の凹凸に気を取られ、横断歩道をわたっていた高齢者をはねてしまい、被害者である高齢者は死亡しました。

安全運転義務は自動車だけでなく自転車にも課されており、イヤホンを装着しての運転は危険察知能力を低下させる一因となります。

交通事故に対する刑罰の重さは、捕まった際の状況でも変わりますので、安全運転義務を怠るリスクは非常に高いです。

イヤホン使用の自転車との
交通事故で被害に遭った際の対処法

自転車との交通事故でも大きな損害を被ることがありますので、損害賠償金を受け取るためにも、被害者となった際は適切な対応を取ることが大切です。

交通事故が発生したことを
警察に連絡する

自転車による交通事故が発生した場合、物損事故・人身事故に関係なく警察へ報告する義務がありますので、加害者が警察に連絡しないケースや、事故現場から立ち去ったときは被害者が警察に連絡してください。

交通事故で怪我を負った場合、被害者は加害者に対して損害賠償を求めることになりますが、示談交渉の際には「交通事故証明書」が必要です。

交通事故証明書は交通事故が発生したことを証明する書類であり、警察に連絡しないと交通事故証明書は取得できないので注意してください。
 

怪我の有無は病院で確認
すること

自転車と接触した場合、怪我を負っている可能性があるため、必ず病院を受診してください。

一般の自転車は時速10kmから15km程度ですが、ロードバイクなどのスポーツ自転車の時速は20kmから30kmにもなり、自転車がこちら側に気が付いていない場合、速度を緩めないまま衝突するので大変危険です。

交通事故による怪我は打撲や骨折だけでなく、むち打ちなど、事故が発生してから数時間または数日経過した後に症状が出る怪我も存在します。

交通事故による怪我の治療費も加害者に請求できますが、怪我と事故の因果関係を証明できないと治療費を受け取ることはできません。

因果関係を証明するためには医師の診断書が必要となりますので、交通事故に遭いましたら、病院で怪我の有無を確認してください。

ひき逃げ・当て逃げされた
場合は証拠を集めること

加害者である自転車の運転者が事故現場から立ち去ったときは、ひき逃げ・当て逃げした証拠をできるだけ集めてください。

事故発生直後の状況が確認できるものを集めておけば、警察が加害者を特定しやすくなりますし、示談する際には交渉を優位に進めることができます。

加害者がイヤホンを装着して自転車を運転していた場合、安全運転義務を怠っている判断された場合、加害者の過失割合が高くなります。

加害者に事故が発生したすべての責任があるときは、被った損害を全額請求できますので、被害者は事故が発生した状況を説明できるよう、写真やメモを取るなどして証拠を保全してください
 

加害者が保険に加入していない場合の対応方法

自転車は自動車よりも保険に加入していない方が多く、加害者である自転車の運転者が保険未加入者だった場合、保険で損害賠償金を支払うことができません。

保険未加入でも損害賠償金の支払いが免除されるわけではありませんが、加害者に金銭的な余裕がない場合、被った損害に対する賠償を満額受けられなくなる恐れがあります。

また、加害者本人が示談交渉の場に出てきたときは、代理人を立てないと当事者同士で話し合うことになります。

交渉に不慣れだと納得する賠償金を得るのが難しくなりますので、加害者が保険に加入していない場合は、弁護士に示談交渉を依頼することも検討してください

自転車との交通事故は弁護士に
要相談

自転車の道路交通法違反や都道府県の条例・規則違反の取り締まりは、年々強化されています。

令和6年11月以降は自転車の運転には一層注意しなければなりませんし、交通事故の被害者となった際は、自動車との交通事故と同じような対応が求められます。

自転車の運転者は保険に加入していないこともあり、事故対応は特に難しいです。

当事者同士の話し合いは感情的になりやすいため、スムーズに交渉を進めるためにも、交通事故の被害に遭ったときは1度弁護士にご相談ください。
 

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監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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