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交通事故に遭った際に健康保険を使えるケース・使えないケースとは

最終更新日 2024年 10月08日

交通事故に遭った際に健康保険を使えるケース・使えないケースとは

この記事を読むとわかること

 
日常で病院を受診する際には健康保険証を提示しますが、交通事故による怪我を治療する場合においては、使用できないケースもあります。

健康保険の使用方法を間違えると損をする可能性があるため、事前に健康保険を使うメリット・デメリットを理解しておかなければなりません。

本記事では、交通事故に遭った際に健康保険を使用できるケース・できないケースおよび、使用する際の注意点について解説します。

健康保険とは

健康保険は、医療機関を受診する際に生じる医療費の負担を軽減するための仕組みです。

日本は国民皆保険制度を採用していますので、すべての人は公的医療保険に加入して保険料を支払わなければなりません。

加入する公的医療保険は年齢や働き方によって異なり、会社員などは勤務先の健康保険、自営業や健康保険に加入していない方などは、国民健康保険に加入することになります。

加入者は事前に保険料を支払うことで、後に生じる医療費に対する給付が受けられるようになり、現役世代であれば医療費の自己負担割合を3割に抑えられます。

ただし、健康保険等は入院や通院に伴う経済的負担を軽減できる制度ですが、交通事故の被害者となった場合には、健康保険等が使用できないケースがあるので注意してください

交通事故で健康保険を使用できるケース

健康保険や国民健康保険の取扱いは、健康保険法や国民健康保険法で定められていますが、交通事故により生じた医療費に対する給付を除外する規定はありません。

昭和43年に厚生省(現:厚生労働省)が発した、「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険などに対する求償事務の取扱い」の通達では、交通事故による怪我でも健康保険が適用できることを示しています。

しかし、健康保険は加入者から集めた保険料を原資としているため、交通事故の状況によっては健康保険を使用できないケースや、使用しないほうが良いケースが存在します。

また、交通事故の治療のために健康保険を使用する際は、健康保険組合に対しての届出が必要となりますので、普段の生活で病院を受診するときとは健康保険の使用方法が変わります。

交通事故で健康保険が使用できないケース

怪我の治療法は様々存在しますが、健康保険による給付が受けられる保険診療には範囲が定められており、自由診療は保険適用外です。

通勤中や業務中に発生した交通事故では、健康保険による給付よりも労災給付が優先されるため、健康保険を使うことができません。

また、無免許運転や飲酒運転など、故意の犯罪行為が原因で怪我をした場合、その怪我を治療する際にも健康保険を使うことができないので注意してください。

交通事故で健康保険を使うメリット

交通事故による怪我の治療で健康保険を使用することは、医療費の自己負担を軽減するだけでなく、受け取る損害賠償金の額にも関係してきます。

損害賠償金の額が増える

加害者が任意保険に加入していない場合、怪我等の治療費は被害者が立て替えた後に、別途加害者や加害者が加入する保険会社に請求することになります。

加害者が加入している保険が自賠責保険のみの場合、補償される金額は非常に低く、限度額は死亡による損害は3,000万円、傷害による損害については120万円が上限です

後遺障害による損害は、認定された後遺障害等級に応じて補償されますが、後遺障害等級は怪我の治療が完了しても症状が残っている場合が対象なので、怪我の治療費や休業損害に対しては120万円までしか補償されません。

補償を超えた部分の治療費は加害者本人が支払うことになりますが、加害者が補償する資力を有していない場合、加害者から損害に対する補償を十分に受けられないことも考えられます。

そのため、そのような状況になったときは、健康保険を使用することで被害者が負担する医療費を軽減することも選択肢です。

また、治療費を被害者が負担し、自賠責保険による賠償を休業損害等のみに充てることができれば、交通事故による支出を抑えつつ、自賠責保険の限度額まで損害賠償金を受け取ることができます。

被害者に一定の過失割合がある

交通事故の被害者になったとしても、加害者に全面的な非があるとは限りません。

信号機がない交差点における自動車同士の交通事故の場合、狭い道路を走行していた車の過失割合が高くなりますが、直進車同士の事故であれば広い道路を走行していた車についても交通事故が発生した責任があると判断されます。

1,000万円の損害が生じた交通事故の過失割合が2:8の場合、2割は被害者にも非があることから、800万円分の損害賠償金しか受け取ることができません。

被害者に過失がある場合の交通事故による怪我の治療費用等は、窓口負担分で過失相殺を行い、過失相殺部分の費用は被害者自身が負担することになります。

実費負担を伴う場合、現役世代の人であれば健康保険を使用することで自己負担割合が3割となりますので、被害者にも交通事故が発生した原因があるときは、健康保険を使用することも検討してください

高額療養費制度を適用する

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で一定の金額以上となった場合、超過部分の費用負担が実質的に生じなくなる制度です。

制度を利用するためには条件や手続きが必要となりますが、条件をクリアすれば上限を超えて支払った医療費の還付を受けることができます。

還付は後日行われますので、一時的に立て替えることになりますが、最終的な医療費の負担は軽減されます。

また、窓口での支払いを一定の金額以内に収めたい方は、限度額適用認定証を利用することも選択肢です。

限度額適用認定証は、病院での支払いを自己負担限度額までにするもので、加入している医療保険の窓口で申請手続きを行い、入院等の際に認定証と被保険者証を提示することで適用できます。

交通事故で健康保険を使うデメリット

本人の行為が原因で生じた怪我を治療するために健康保険を使用する場合、基本的には健康保険証を提示すれば給付を受けられます。

しかし、第三者が原因の怪我を治療する際には、一定の条件をクリアしないと健康保険は使用できません。

「第三者行為による傷病届」の提出が必要

交通事故の被害者は、第三者の行為によって怪我したことを知らせるために、健康保険組合に対して「第三者行為による傷病届」を提出しなければなりません。

健康保険を使用する場合、通常は病院に保険証を提出するだけで保険が適用されますが、交通事故に伴う傷病の治療に健康保険を使用する際は、健康保険組合に了承を得る必要があります。

健康保険組合は組合員(加入者)から集めた保険料で制度を維持していますので、交通事故によって生じた医療費等は、加害者や加害者が加入する保険会社に請求します。

健康保険組合が請求手続きをする関係上、交通事故の被害者が健康保険を使用する際は、速やかに「第三者行為による傷病届」を提出することが求められます。

治療できる内容に制約がかかる

健康保険が使用できる治療内容には範囲が定められていますので、保険適用外の診療を受けることはできません。

交通事故で負傷した状況等によっては、自由診療による治療を施すことが最善のケースもありますが、健康保険を使用してしまうと最善の治療を受けられない恐れがあります

被害者が重症患者でなければ、治療内容は本人が選ぶことができますので、自らの意思で健康保険を使用せず、自由診療による治療を受けることは可能です。

交通事故で健康保険を使うべき状況とは

交通事故で次に該当するケースに当てはまる場合、健康保険を使用することを検討してください。

加害者が任意保険に加入していない

自賠責保険は自動車所有者全員が加入している保険ですが、任意保険に加入するかは本人の判断となるため、加害者が任意保険に加入しているとは限りません。

損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況」によると、任意自動車保険の対人賠償責任保険の普及率(2023年3月末)は対人賠償は75.2%と、約25%は対人賠償責任保険に加入していません

自賠責保険の怪我の治療費や休業補償に対する補償は120万円が上限となっていますので、加害者が任意保険未加入者であった場合には、被害者の実費負担が生じることも考えられます。

交通事故による損害が補償されない状況を回避するのが望ましいですが、万が一そのような状況になったときは、健康保険を使用して実費負担を軽くしてください。

加害者が資力を有していない

加害者が任意保険に加入していなくても、交通事故による損害を補償する責任がなくなるわけではないため、損害賠償金を請求することができます。

しかし、加害者に経済的余裕がある場合には任意保険に加入していることがほとんどであるため、自賠責保険にしか加入していない加害者が損害賠償金を支払える資力を有している可能性は低いです。

被害者にとっては嘆かわしい状況ですが、加害者に損害の補償を求めるのが難しいときは、健康保険を使用して交通事故で生じる治療費等による支出を少しでも軽減してください。

加害者側からの治療費の支払いが打ち切られた

加害者からは怪我が完治するまで治療費が支払われますが、怪我が症状固定となった場合、治療費が支払われなくなる可能性があります

症状固定は怪我や病気の治療を続けても症状の改善が見込まれない状態をいい、症状固定となった時点で加害者は被害者に対して治療費を支払う義務がなくなります。

症状固定となったときは、後遺障害の状況に応じて後遺障害等級の認定を受け、認定等級に応じた損害賠償を求めることが可能です。

しかし、治療費の支払いが打ち切られれば実費負担が生じますし、症状固定となった以後の通院費等は自己負担となるので注意が必要です。

交通事故で健康保険を使用する際に必要となる書類

交通事故による怪我等に対して健康保険を使用する場合、健康保険組合に次の書類を揃えてを提出してください。

提出書類
  • 第三者行為による傷病届
  • 負傷原因報告書
  • 事故発生状況報告書
  • 損害賠償金納付確約書(念書)
  • 交通事故、自損事故、第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届
  • 同意書

 
「負傷原因報告書」は、交通事故が通勤中や業務中のものではないことを確認する書類です。

通勤中や業務中の事故は労災給与が優先されますので、怪我をした原因がそれらに該当しないことを証明するために用います。

「事故発生状況報告書」は、事故の状況を確認するための書類です。

交通事故の過失割合によって健康保険が支払うことになる額が変わるため、事故発生状況報告書で過失割合を確認します。

「損害賠償金納付確約書」は、加害者が治療費の支払いを行うことを確約する書類です。

健康保険組合は生じた費用を加害者に請求することになるため、確約書や念書を加害者に記載してもらう必要があります。

加害者と被害者で過失割合について揉めているときは、確約書の記載を拒むこともありますが、その際は加害者が記載しない理由を記載してください。

「交通事故、自損事故、第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届」は、交通事故証明書を参考に作成する書類です。

基本的には被保険者等が記載することになりますが、相手方が作成することもできます。

「交通事故証明書」は、自動車安全運転センターが発行する証明書です。

交通事故が発生した場合、警察が事故状況を確認することになりますが、それらの状況を証明する書類として、自動車安全運転センターから交通事故証明書が発行されます。

交通事故証明書の交付は自動ではありませんので、必要に応じて自動車安全運転センターに請求してください。

「同意書」は、個人情報の取扱いに同意する書類です。

交通事故の被害者は健康保険組合や保険会社と費用等のやり取りをする際、個人情報を提供することになるため、それらの方々が個人情報を取り扱うことを了承するために必要です。

まとめ

交通事故で負傷した場合、状況によっては健康保険を使うか判断する必要があります。

保険適用外の治療を受けるときは健康保険を使えませんし、交通事故の被害者が健康保険を使用する場合には、健康保険組合に対して「第三者行為による傷病届」を提出しなければなりません。

交通事故に関するトラブルは、被害者本人だけでは対処するのが難しいものも多く、手続きのしかたを間違えてしまうと不要な支出が増えるだけでなく、損害賠償金の額が減ってしまうこともあります。

加害者が任意保険に加入している場合、示談交渉は保険会社と行うことになりますが、保険会社が被害者の意見をすべて受け入れるとは限りません。

その点、弁護士に委任すれば示談交渉をスムーズに進められるだけでなく、損害賠償金を受け取るまでの手続きも代行します

交通事故に遭った場合、肉体だけでなく精神的にも辛くなっていますので、交通事故の被害者となったときは弁護士を頼ってください。

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監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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