交通事故での骨折の後遺障害等級と実際の解決事例
交通事故の被害で、多いもののひとつに骨折があります。
骨折した場合、入通院して治療をしなければいけませんし、その間の収入の補償の問題も出てきます。
仮に後遺症が残ってしまった場合、被害者の方は一生その後遺症とつき合っていかなければいけません。
やはり、その後の収入をどうするのか、誰が補償してくれるのかということを考えなければいけません。
通常、後遺症が残った場合、ご自身の後遺障害等級を申請し、等級が認定されると、加害者側の任意保険会社から慰謝料や逸失利益などの損害賠償金の提示があります。
この金額が納得できるものならばいいのですが、保険会社の提示額は適切な相場金額より1/2、1/3、さらに低いことがほとんどなのです。
被害者の方としては、ケガを負い、後遺症が残ったうえに、お金の部分でも損害を受けることは許せることではないですし、正しい金額を受け取るべきだと思います。
そこで本記事では、骨折の被害にあった場合の部位別(鎖骨、上肢、指、骨盤、下肢など)の後遺障害等級から慰謝料等の相場金額と計算方法までお話ししていきたいと思います。
骨折の種類について
骨折といっても、その状態や部位によってさまざまな違いがあります。
<骨折の種類>
・単純骨折(閉鎖骨折)
・複雑骨折(開放骨折)
・複合骨折(重複骨折)
・圧迫骨折
・亀裂骨折
・剥離骨折
・粉砕骨折
・破裂骨折 など
複雑骨折(開放骨折)は、折れた骨が皮膚から飛び出た状態です。
剥離骨折は、事故の衝撃で骨に亀裂が入り、骨についている腱や靭帯が引っ張られることで骨ごとはがれてしまうものです。
状態としては、単純骨折であれば比較的早期に回復する可能性が高いですが、複雑骨折や粉砕骨折などでは、たとえば手足の長さが変わってしまうなどの後遺症が残る可能性もあります。
脊椎(頸椎・胸椎・腰椎)が圧迫骨折した場合、骨に外力が加わり、上下に押しつぶされるように骨が折れて変形してしまう可能性が高いため、脊椎自体に変形障害や運動障害といった後遺症が残ることになります。
骨折の部位別の後遺障害等級と慰謝料額
次に、骨折を負った部位の違いによる症状や後遺障害等級について解説していきます。
【鎖骨】
胸骨と肩甲骨を連結しているのが鎖骨です。
鎖骨は人体の中で、もっとも折れやすい骨のひとつで、肩への衝撃を吸収する働きもしています。
鎖骨骨折は、折れた箇所によって、「鎖骨骨幹部骨折」「鎖骨遠位端骨折」「鎖骨近位端骨折」の3つに分けられます。
<後遺症>
・変形障害:骨が歪んだまま症状固定したために変形したもの。
・機能障害:遠位端骨折によって肩関節が動かしにくくなったもの。
・神経症状:骨折の時に生じた鎖骨の骨片が神経を傷つけることで、上肢(腕)や指にしびれが残ったり、動かしにくくなるもの
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「10級10号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
慰謝料額:550万円
「12級5号」
後遺障害:鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級6号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級13号」
後遺障害:局部に頑固な神経症状を残すもの
慰謝料額:290万円
「14級9号」
後遺障害:局部に神経症状を残すもの
慰謝料額:110万円
【上腕骨】
肩からひじまでを上腕といいます。
上腕の骨折は、折れた箇所によって、「上腕骨骨幹部骨折」「上腕骨遠位端骨折」「上腕骨近位端骨折」の3つに分けられます。
<後遺症>
「上腕骨骨幹部骨折」
・変形障害:骨が歪んだまま症状固定したために変形したもの。
・運動障害:偽関節が残ってしまい、 硬性補装具がないと上腕を動かすのが困難なもの。
※偽関節とは、骨折した部分が治癒せず癒合しないため、固定せず関節のように動いてしまう状態。
「上腕骨遠位端骨折」
・機能障害:ひじ関節が動かしにくくなったもの。
「上腕骨近位端骨折」
・機能障害:肩関節が動かしにくくなったもの。
※その他、神経症状の後遺症として、骨折の時に生じた骨片が神経を傷つけることで、上肢(腕)にしびれが残ったり、動かしにくくなるものも後遺症と認定される場合があります。
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「7級9号」
後遺障害:一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
慰謝料額:1000万円
「8級6号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
慰謝料額:830万円
「8級8号」
後遺障害:一上肢に偽関節を残すもの
慰謝料額:830万円
「10級10号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
慰謝料額:550万円
「12級6号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級8号」
後遺障害:長管骨に変形を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級13号」
後遺障害:局部に頑固な神経症状を残すもの
慰謝料額:290万円
「14級9号」
後遺障害:局部に神経症状を残すもの
慰謝料額:110万円
【橈骨・尺骨】
前腕(ひじから手首)は、次の2本の長管骨からなります。
橈骨:親指側から肘に向かって伸びている骨
尺骨:小指側から肘に向かって伸びている骨
<後遺症>
「骨幹部骨折」
・変形障害:骨が歪んだまま症状固定したために変形したもの。
・運動障害:偽関節が残ってしまい、 硬性補装具がないと上腕を動かすのが困難なもの
※偽関節とは、骨折した部分が治癒せず癒合しないため、固定せず関節のように動いてしまう状態。
「遠位端骨折」
・機能障害:手首の関節が動かしにくくなったもの。
「近位端骨折」
・機能障害:ひじの関節が動かしにくくなったもの。
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「7級9号」
後遺障害:一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
慰謝料額:1000万円
「8級6号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
慰謝料額:830万円
「8級8号」
後遺障害:一上肢に偽関節を残すもの
慰謝料額:830万円
「10級10号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
慰謝料額:550万円
「12級6号」
後遺障害:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級8号」
後遺障害:長管骨に変形を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級13号」
後遺障害:局部に頑固な神経症状を残すもの
慰謝料額:290万円
「14級9号」
後遺障害:局部に神経症状を残すもの
慰謝料額:110万円
【手指】
指の骨は、上から「末節骨」「中節骨」「基節骨」の3つからなっています。
手の骨は、甲にあるのが5本の「中手骨」、手首に近いところにあるのが「手根骨」で、8つの骨からなっています。
事故で体が投げ出され、地面に手をついた時などでは、剝離骨折や粉砕骨折が起きる場合もあります。
<後遺症>
・運動障害:手の指が動かしにくくなる、あるいはまったく動かいない状態。
・爪の変形:指の骨折により爪の変形が残った状態。
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「4級6号」
後遺障害:両手の手指の全部の用を廃したもの
慰謝料額:1670万円
「7級7号」
後遺障害:一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
慰謝料額:1000万円
「8級4号」
後遺障害:一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
慰謝料額:830万円
「9級13号」
後遺障害:一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
慰謝料額:690万円
「10級7号」
後遺障害:一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
慰謝料額:550万円
「12級10号」
後遺障害:一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
慰謝料額:290万円
「13級6号」
後遺障害:一手のこ指の用を廃したもの
慰謝料額:180万円
「14級7号」
後遺障害:一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
慰謝料額:110万円
【骨盤】
全体的に見ると、すり鉢状の形をしている骨盤は、左右の寛骨と仙骨、尾骨からなっています。
脊柱の可動部や体幹の重量を支えたり、下肢の基部にもなっています。
骨盤を骨折すると歩行が困難になることの他に、周囲の臓器や神経へのダメージも考えられます。
<後遺症>
・変形障害:骨盤が歪んだまま症状固定したために変形したもの。
・機能障害:人口関節を入れる手術を受けたために、可動域制限が生じたもの。
・可動域制限:股関節の可動域が狭くなってしまったもの。
・下肢の短縮障害:骨盤が歪んだままの状態になったために、左右どちらかの足の長さが短くなってしまったもの。
※女性では、骨盤骨折の後遺症のために正常分娩が困難になった場合は後遺障害が認められる可能性があります(11級10号)。
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「8級5号」
後遺障害:一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:830万円
「8級7号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
慰謝料額:830万円
「9級17号」
後遺障害:生殖器に著しい障害を残すもの
慰謝料額:690万円
「10級8号」
後遺障害:一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:550万円
「10級11号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
慰謝料額:550万円
「11級10号」
後遺障害:胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
慰謝料額:420万円
「12級5号」
後遺障害:鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級7号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級13号」
後遺障害:局部に頑固な神経症状を残すもの
慰謝料額:290万円
「13級8号」
後遺障害:一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:180万円
「14級9号」
後遺障害:局部に神経症状を残すもの
慰謝料額:110万円
【大腿骨】
人体の中では最長で、太ももの中を通っているのが大腿骨です。
「大腿骨頭」「大腿骨頸部」「大転子」「小転子」「大腿骨幹部」「大腿骨顆部」などの部位からなっています。
<後遺症>
・変形障害:骨盤が歪んだまま症状固定したために変形したもの。
・機能障害:人口関節を入れる手術を受けたために、可動域制限が生じたもの。
・可動域制限:股関節の可動域が狭くなってしまったもの。
・下肢の短縮障害:大腿骨骨折のために、下肢が短くなってしまったもの。
※たとえば、骨盤と接している股関節部分の完治が見込めず人工関節への置換が行われた場合、10級11号か8級7号が民底される可能性があります。
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「7級10号」
後遺障害:一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
慰謝料額:1000万円
「8級5号」
後遺障害:一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:830万円
「8級7号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
慰謝料額:830万円
「8級9号」
後遺障害:一下肢に偽関節を残すもの
慰謝料額:830万円
「10級8号」
後遺障害:一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:550万円
「10級11号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
慰謝料額:550万円
「12級7号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級8号」
後遺障害:長管骨に変形を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級13号」
後遺障害:局部に頑固な神経症状を残すもの
慰謝料額:290万円
「13級8号」
後遺障害:一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:180万円
「14級9号」
後遺障害:局部に神経症状を残すもの
慰謝料額:110万円
【腓骨・脛骨】
いわゆる「すね」の骨は脛骨と腓骨という2本の長管骨からなります。
脛骨は足の親指のほうから膝につながっている太い骨です。
腓骨は足の小指のほうから膝につながっている細い骨です。
後遺症は、それぞれ膝に近いほうから「近位端」「骨幹部」「遠位端」の3つの部位に分けて判断されます。
<後遺症>
「近位端」
・機能障害: 膝関節が動かしにくくなるもの。
「骨幹部」
・変形障害:腓骨と脛骨が歪んだまま症状固定したために変形したもの。
・運動障害:偽関節が残ってしまい、 硬性補装具がないと歩行が困難なもの。
「遠位端」
・機能障害: 足首の関節が動かしにくくなるもの
<認定される後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)>
「7級10号」
後遺障害:一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
慰謝料額:1000万円
「8級5号」
後遺障害:一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:830万円
「8級7号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
慰謝料額:830万円
「8級9号」
後遺障害:一下肢に偽関節を残すもの
慰謝料額:830万円
「10級8号」
後遺障害:一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:550万円
「10級11号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
慰謝料額:550万円
「12級7号」
後遺障害:一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級8号」
後遺障害:長管骨に変形を残すもの
慰謝料額:290万円
「12級13号」
後遺障害:局部に頑固な神経症状を残すもの
慰謝料額:290万円
「13級8号」
後遺障害:一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
慰謝料額:180万円
「14級9号」
後遺障害:局部に神経症状を残すもの
慰謝料額:110万円
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