交通事故での内臓の後遺障害
交通事故の被害では、内臓に損傷を受けてしまう場合があります。
内臓の損傷では重度の後遺症が残ってしまう可能性も高いため、被害者の方やご家族は今後の生活に大きな不安や心配を抱えておられることでしょう。
精神的にも肉体的にもつらい状況だと思いますが、被害者の方にはやらなければいけないことがあります。
その中でも大切なことの1つは、後遺障害等級認定の申請です。
というのは、ご自身の後遺障害等級が認定されることで慰謝料や逸失利益などの損害賠償金を受け取ることができるからです。
☑では、内臓にはどのような臓器があるのでしょうか?
☑内臓の後遺障害等級は何級が認定されるのでしょうか?
☑その場合の認定基準は?
☑慰謝料などの損害賠償金は、いくら受け取ることができるのでしょうか?
本記事では、そうした疑問を解決していきたいと思います。
内臓について知っておきたい基礎知識
そもそも内臓とは?
そうした疑問を感じる方も多いかもしれません。
内臓とは、体の中にある臓器(器官)のことです。
器官には、消化器、循環器、呼吸器、発声器、泌尿器、生殖器、内分泌器、感覚器、神経、運動器、皮膚などさまざまありますが、この中で胸部と腹部の中にあるものが内臓と呼ばれます。
内臓は、医学的には大きく、1.消化器系、2.呼吸器系、3.泌尿器・生殖器系、に分けられますが、本記事ではこれら以外にも④循環器系、⑤その他の臓器も含めて考えていきます。
「消化器」
食道、胃、小腸(十二指腸など)、 大腸(盲腸、虫垂、結腸など)、直腸 など
「呼吸器系」
肺、気管、気管支 など
「泌尿器・生殖器」
腎臓、膀胱、尿管、尿道、陰茎、陰嚢、精巣、前立腺、卵巣、子宮 など
「循環器」
心臓、血管、リンパ管、脾臓、胸腺 など
「その他」
肝臓、すい臓、胆のう など
内臓の後遺障害等級について
交通事故による内臓の損傷で後遺症が残った場合、その程度によって次の後遺障害等級が認定されます。
【介護が必要な後遺障害】
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
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自賠責保険金額 | 4000万円 |
労働能力喪失率 | 100% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
自賠責保険金額 - 4000万円
労働能力喪失率 - 100%
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
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自賠責保険金額 | 3000万円 |
労働能力喪失率 | 100% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
自賠責保険金額 - 3000万円
労働能力喪失率 - 100%
<介護レベルの違いについて>
1級と2級では、「介護のレベル」の違いがあります。
1級の「常に介護を要するもの」は、寝たきりなどのため、日常生活すべてにおいて常に介護が必要である状態です。
2級の「随時介護を要するもの」は、運動障害や失認、失語などはあるものの、本人には意識があり、たとえば自宅内では食事や排泄などに介護が必要であるが、その他の行動では、ひとりでできるものもある状態になります。
【介護を必要としない後遺障害】
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
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自賠責保険金額 | 2219万円 |
労働能力喪失率 | 100% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
自賠責保険金額 - 2219万円
労働能力喪失率 - 100%
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
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自賠責保険金額 | 1574万円 |
労働能力喪失率 | 79% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
自賠責保険金額 - 1574万円
労働能力喪失率 - 79%
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
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自賠責保険金額 | 1051万円 |
労働能力喪失率 | 56% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
自賠責保険金額 - 1051万円
労働能力喪失率 - 56%
後遺障害の内容 | 両側の睾丸を失つたもの |
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自賠責保険金額 | 1051万円 |
労働能力喪失率 | 56% |
後遺障害の内容 - 両側の睾丸を失つたもの
自賠責保険金額 - 1051万円
労働能力喪失率 - 56%
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
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自賠責保険金額 | 616万円 |
労働能力喪失率 | 35% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
自賠責保険金額 - 616万円
労働能力喪失率 - 35%
後遺障害の内容 | 生殖器に著しい障害を残すもの |
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自賠責保険金額 | 616万円 |
労働能力喪失率 | 35% |
後遺障害の内容 - 生殖器に著しい障害を残すもの
自賠責保険金額 - 616万円
労働能力喪失率 - 35%
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
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自賠責保険金額 | 331万円 |
労働能力喪失率 | 20% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
自賠責保険金額 - 331万円
労働能力喪失率 - 20%
後遺障害の内容 | 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
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自賠責保険金額 | 139万円 |
労働能力喪失率 | 9% |
後遺障害の内容 - 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
自賠責保険金額 - 139万円
労働能力喪失率 - 9%
【参考資料】
・【後遺障害3級】の認定基準・慰謝料額と増額事例
・【後遺障害5級】の認定基準・慰謝料額と増額事例
・【後遺障害7級】の認定基準・慰謝料額と増額事例
・【後遺障害9級】の認定基準・慰謝料額と増額事例
・【後遺障害11級】の認定基準・慰謝料額と増額事例
・【後遺障害13級】の認定基準・慰謝料額と増額事例
自賠責保険というのは、すべての自動車に加入が義務づけられているものです。
この保険から支払われるのが自賠責保険金で、慰謝料とは違うものになります。
詳しい内容は、次のページを参考にしてください。
【参考資料】
このように、後遺障害等級表上では「胸腹部臓器」とひとまとめに記載されていますが、実際の損害賠償実務では、各臓器ごとに該当する後遺障害等級の認定基準があるので、それを次に見ていきましょう。
内臓の各部位別の後遺障害等級認定基準
胸部・腹部の各内臓に関する後遺障害等級の認定基準については、2006(平成18)年に出された、「都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知」(胸腹部臓器の障害に関する障害等級認定基準について)を参考にします。
呼吸器の後遺障害等級と認定基準
呼吸器の後遺障害等級は、原因となった傷病や臓器により区別することなく、動脈血酸素分圧、動脈血ガス分圧、スパイロメトリー(肺機能検査)などの検査結果等に応じて、1級から11級に区分され、認定されます。
具体的には、動脈血酸素分圧の検査数値が、【1】50Torr以下のもの、【2】50Torrを超え60Torr以下のもの、【3】60Torrを超え70Torr以下のもの、【4】70Torrを超えるもの、の4つに分けて判断されます。
【認定される後遺障害等級】
1級の4 | 呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの |
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2級の2の3 | 呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの |
3級の4 | 1級、2級に該当しないもの |
1級の4 - 呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの
2級の2の3 - 呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの
3級の4 - 1級、2級に該当しないもの
1級の4 | 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr以上43Torr以下)にないもので、かつ呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの |
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2級の2の3 | 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、かつ、呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの |
3級の4 | 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、1級、2級に該当しないもの |
5級の1の3 | 1級、2級、3級に該当しないもの |
1級の4 - 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr以上43Torr以下)にないもので、かつ呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの
2級の2の3 - 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、かつ、呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの
3級の4 - 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、1級、2級に該当しないもの
7級の5 | 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもの |
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9級の7の3 | 7級に該当しないもの |
7級の5 - 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもの
9級の7の3 - 7級に該当しないもの
11級の9 | 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもの |
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11級の9 - 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもの
なお、スパイロメトリーの結果、および呼吸困難の程度による判定などによる基準と等級については、上記資料を参考にしていただくか、みらい総合法律事務所の無料相談をご利用ください。
循環器の後遺障害等級と認定基準
循環器というのは、血液を循環させる臓器=心臓や血管、リンパ管のことです。
循環器については、次の4つの基準によって後遺障害等級が認定されます。
【認定される後遺障害等級】
9級の7の3 | 心機能の低下による運動耐容能の低下が中等度であるもの |
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9級の7の3 - 心機能の低下による運動耐容能の低下が中等度であるもの
11級の9 | 心機能の低下による運動耐容能の低下が軽度であるもの |
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11級の9 - 心機能の低下による運動耐容能の低下が軽度であるもの
7級の5 | 除細動器を植え込んだもの |
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9級の7の3 | ペースメーカを植え込んだもの |
7級の5 - 除細動器を植え込んだもの
9級の7の3 - ペースメーカを植え込んだもの
9級の7の3 | 継続的に抗凝血薬療法を行なうもの |
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11級9号 | 9級に該当しないもの |
9級の7の3 - 継続的に抗凝血薬療法を行なうもの
11級9号 - 9級に該当しないもの
11級9号 | 偽腔開存型の解離を残すもの |
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11級9号 - 偽腔開存型の解離を残すもの
消化器の後遺障害等級と認定基準
消化器は、上から食道、胃、小腸、大腸となります。
【認定される後遺障害等級】
9級の7の3 | 食道の狭さくによる通過障害を残すもの ・通過障害の自覚症状があること ・消化管造影検査により、食道の狭さくによる造影剤のうっ滞が認められること |
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9級の7の3 - 食道の狭さくによる通過障害を残すもの
・通過障害の自覚症状があること
・消化管造影検査により、食道の狭さくによる造影剤のうっ滞が認められること
次のいずれにも該当する場合です。
・通過障害の自覚症状がある
・消化管造影検査により、食道の狭さくによる造影剤のうっ滞が認められる
胃の障害に関する障害等級は、胃の切除により生じる症状の有無により、次のように認定されます。
7級の5 | 消化吸収障害、ダンピング症候群及び胃切除術後逆流性食道炎のいずれもが認められるもの |
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9級の7の3 | ・消化吸収障害及びダンピング症候群が認められるもの ・消化吸収障害、および胃切除術後逆流性食道炎が認められるもの |
11級の9 | 消化吸収障害、ダンピング症候群又は胃切除術後逆流性食道炎のいずれかが認められるもの。 |
13級の3の3 | 噴門部又は幽門部を含む胃の一部を亡失したもの (9級の7の3,および11級の9に該当するものを除く) |
7級の5 - 消化吸収障害、ダンピング症候群及び胃切除術後逆流性食道炎のいずれもが認められるもの
9級の7の3 - ・消化吸収障害及びダンピング症候群が認められるもの
・消化吸収障害、および胃切除術後逆流性食道炎が認められるもの 11級の9 - 消化吸収障害、ダンピング症候群又は胃切除術後逆流性食道炎のいずれかが認められるもの
13級の3の3 - 噴門部又は幽門部を含む胃の一部を亡失したもの
(9級の7の3,および11級の9に該当するものを除く)
<消化吸収障害が認められる場合とは?>
次のいずれにも該当する場合です。
・噴門部又は幽門部を含む胃の一部を亡失し、低体重等(BMIが20以下であるものをいう。ただし、被災前からBMIが20以下であったものについては、被災前よりも体重が10%以上減少したもの)が認められる。
<ダンピング症候群が認められる場合とは?>
次のいずれにも該当する場合です。
・食後30分以内に出現するめまい、起立不能等の早期ダンピング症候群に起因する症状、または食後2時間後から3時間後に出現する全身脱力感、めまいなどの晩期ダンピング症候群に起因する症状が認められる。
<胃切除術後逆流性食道炎が認められる場合とは?>
次のいずれにも該当する場合です。
・胸焼け、胸痛、嚥下困難等の胃切除術後逆流性食道炎に起因する自覚症状がある。
・内視鏡検査により食道にびらん、潰瘍等の胃切除術後逆流性食道炎に起因する所見が認められる。
9級の7の3 | 小腸を大量に切除し、残存する空腸及び回腸の長さが100cm以下となったもの |
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11級の9 | 回腸の長さが100cmを超えて300cm未満となり、消化吸収障害が認められるもの |
9級の7の3 - 小腸を大量に切除し、残存する空腸及び回腸の長さが100cm以下となったもの
11級の9 - 回腸の長さが100cmを超えて300cm未満となり、消化吸収障害が認められるもの
人工肛門を造設した場合は、次の後遺障害等級が認定されます。
5級の1の3 | 小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの |
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7級の5 | 5級に該当しないもの |
5級の1の3 - 小腸内容が漏出することによりストマ周辺に
著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの 7級の5 - 5級に該当しないもの
小腸皮膚瘻を残すもの、として次の後遺障害等級が認定されます。
5級の1の3 | ・5級に該当しないもの 瘻孔から小腸内容の全部、または大部分が漏出するもので、小腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの |
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7級の5 | ・5級に該当しないもの ・瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、 パウチ等による維持管理が困難であるもの |
9級の7の3 | 7級に該当しないもの |
5級の1の3 - 5級に該当しないもの。
瘻孔から小腸内容の全部、または大部分が漏出するもので、小腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの 7級の5 - ・5級に該当しないもの。
・瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、
パウチ等による維持管理が困難であるもの 9級の7の3 - 7級に該当しないもの
小腸の狭さくを残すもの、として次の後遺障害等級が認定されます。
11級の9 | 小腸の狭さくを残すもので、次の場合 ・1か月に1回程度、腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐等の症状が認められる ・単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められる |
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11級の9 - 小腸の狭さくを残すもので、次の場。
・1か月に1回程度、腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐等の症状が認められる
・単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められる
大腸を大量に切除した場合は、次の後遺障害等級が認定されます。
11級の9 | 結腸のすべてを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの |
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11級の9 - 結腸のすべてを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの
人工肛門を造設した場合は、次の後遺障害等級が認定されます。
5級の1の3 | 大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、 パウチ等の装着ができないもの |
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7級の5 | 5級に該当しないもの |
5級の1の3 - 大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、
パウチ等の装着ができないもの 7級の5 - 5級に該当しないもの
大腸皮膚瘻を残すもの、として次の後遺障害等級が認定されます。
5級の1の3 | 瘻孔から大腸内容の全部、または大部分が漏出するもので、大腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの |
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7級の5 | ・5級に該当しないもの ・瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、 パウチ等による維持管理が困難であるもの |
9級の7の3 | 7級に該当しないもの |
5級の1の3 - 5級に該当しないもの
・瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、
パウチ等による維持管理が困難であるもの 7級の5 - 5級に該当しないもの。
・瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、
パウチ等による維持管理が困難であるもの 9級の7の3 - 7級に該当しないもの
大腸の狭さくを残すもの、として次の後遺障害等級が認定されます。
11級の9 | 大腸の狭さくを残し、次のいずれにも該当するもの ・1か月に1回程度、腹痛、腹部膨満感等の症状が認められる ・単純エックス線像において、貯留した大量のガスにより結腸膨起像が相当区間認められる |
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11級の9 - 大腸の狭さくを残し、次のいずれにも該当するもの
・1か月に1回程度、腹痛、腹部膨満感等の症状が認められる
・単純エックス線像において、貯留した大量のガスにより結腸膨起像が相当区間認められる
便秘を残すもの、として次の後遺障害等級が認定されます。
9級の7の3 | 用手摘便を要すると認められるもの |
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11級の9 | 9級に該当しないもの |
9級の7の3 - 用手摘便を要すると認められるもの
11級の9 - 9級に該当しないもの
便失禁を残すもの、として次の後遺障害等級が認定されます。
7級の5 | 完全便失禁を残すもの |
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9級の7の3 | 常時おむつの装着が必要なもの |
11級の9 | 常時おむつの装着は必要ないものの、 明らかに便失禁があると認められるもの |
7級の5 - 完全便失禁を残すもの
9級の7の3 - 常時おむつの装着が必要なもの
11級の9 - 常時おむつの装着は必要ないものの、
明らかに便失禁があると認められるもの
泌尿器の後遺障害等級と認定基準
【認定される後遺障害等級】
1.腎臓の後遺障害等級と認定基準
腎臓を失ったかどうか、また糸球体濾過値(GFR)による腎機能の低下の程度によって判断されます。
腎臓失っていない場合、GFRの違いによって次の後遺障害等級が認定されます。
9級の7の3 | GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のもの |
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11級の9 | GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のもの |
13級の3の3 | GFRが70ml/分を超え90ml/分以下のもの |
9級の7の3 - GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のもの
11級の9 - GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のもの
13級の3の3 - GFRが70ml/分を超え90ml/分以下のもの
片方の腎臓を失った場合、GFRの違いによって次の後遺障害等級が認定されます。
7級の5 | GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のもの |
---|---|
9級の7の3 | GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のもの |
11級の9 | GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のもの |
13級の3の3 | GFRが70ml/分を超え90ml/分以下のもの |
7級の5 - GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のもの
9級の7の3 - GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のもの
11級の9 - GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のもの
13級の3の3 - GFRが70ml/分を超え90ml/分以下のもの
2.尿管、膀胱及び尿道の後遺障害等級と認定基準
尿路変向術を行なった場合で、非尿禁制型尿路変向術を行なったものは次の後遺障害等級が認定されます。
5級の1の3 | 尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、 パッド等の装着ができないもの |
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7級の5 | 5級に該当しないもの |
5級の1の3 - 尿が漏出することによりストマ周辺に
著しい皮膚のびらんを生じ、
パッド等の装着ができないもの 7級の5 - 5級に該当しないもの
尿禁制型尿路変向術を行なった場合は、次の後遺障害等級が認定されます。
7級の5 | G禁制型尿リザボアの術式を行ったもの |
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9級の7の3 | 尿禁制型尿路変向術 (禁制型尿リザボアおよび外尿道口形成術を除く)を行ったもの |
11級の9 | ・外尿道口形成術を行なったもの ・尿道カテーテルを留置したもの |
7級の5 - 禁制型尿リザボアの術式を行ったもの
11級の9 - 尿禁制型尿路変向術
(禁制型尿リザボアおよび外尿道口形成術を除く)を行ったもの 11級の9 - ・外尿道口形成術を行なったもの
・尿道カテーテルを留置したもの
排尿障害を残す場合は、次の後遺障害等級が認定されます。
9級の7の3 | 膀胱の機能の障害により、残尿が100ml以上であるもの |
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11級の9 | ・残尿が50ml以上100ml未満であるもの ・尿道狭さくによるもので、糸状ブジーを必要とするもの |
14級準用 | 「シャリエ式」尿道ブジー第20番(ネラトンカテーテル第11号に相当する) が辛うじて通り、時々拡張術を行う必要があるもの |
9級の7の3 - 膀胱の機能の障害により、残尿が100ml以上であるもの
11級の9 - ・残尿が50ml以上100ml未満であるもの
・尿道狭さくによるもので、糸状ブジーを必要とするもの 14級準用 - 「シャリエ式」尿道ブジー第20番(ネラトンカテーテル第11号に相当する)
が辛うじて通り、時々拡張術を行う必要があるもの
蓄尿障害を残す場合は、次の後遺障害等級が認定されます。
7級の5 | ・持続性尿失禁を残すもの ・切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁で、終日パッド等を装着し、 かつパッドをしばしば交換しなければならないもの |
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9級の7の3 | 切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁で、常時パッド等を 装着しなければならないが、パッドの交換までは要しないもの |
11級の9 | ・切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁で、 常時パッド等の装着は要しないが、下着が少しぬれるもの ・頻尿を残すもの |
7級の5 - ・持続性尿失禁を残すもの
・切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁で、終日パッド等を装着し、
かつパッドをしばしば交換しなければならないもの 9級の7の3 - 切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁で、常時パッド等を
装着しなければならないが、パッドの交換までは要しないもの 11級の9 - ・切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁で、
常時パッド等の装着は要しないが、下着が少しぬれるもの
・頻尿を残すもの
・器質的病変による膀胱容量の器質的な減少、または膀胱もしくは尿道の支配神経の損傷が認められること
・日中8回以上の排尿が認められること
・多飲等の他の原因が認められないこと
生殖器の後遺障害等級と認定基準
【認定される後遺障害等級】
生殖機能を完全に喪失した場合の後遺障害等級と認定基準
7級の13 | 両側のこう丸を失ったもの |
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7級の13 (準用) |
・常態として精液中に精子が存在しないもの ・両側の卵巣を失ったもの ・常態として卵子が形成されないもの |
7級の13 - 両側のこう丸を失ったもの
7級の13
(準用)- ・常態として精液中に精子が存在しないもの
・両側の卵巣を失ったもの
・常態として卵子が形成されないもの
通常の性交では生殖を行うことができないもの)場合の後遺障害等級と認定基準
9級の12 | ・陰茎の大部分を欠損したもの (陰茎を膣に挿入することができないと認められるものに限る) ・勃起障害を残すもの ・射精障害を残すもの ・膣口狭さくを残すもの (陰茎を膣に挿入することができないと認められるものに限る) ・両側の卵管に閉塞若しくは癒着を残すもの、頸管に閉塞を残すもの、 または子宮を失ったもの(画像所見により認められるものに限る) |
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9級の12 - ・陰茎の大部分を欠損したもの
(陰茎を膣に挿入することができないと認められるものに限る)
・勃起障害を残すもの
・射精障害を残すもの
・膣口狭さくを残すもの
(陰茎を膣に挿入することができないと認められるものに限る)
・両側の卵管に閉塞若しくは癒着を残すもの、頸管に閉塞を残すもの、
または子宮を失ったもの(画像所見により認められるものに限る)
生殖機能に一定以上の障害を残すものが該当)場合の後遺障害等級と認定基準
11級の9 (準用) |
狭骨盤または比較的狭骨盤(産科的真結合線が10.5cm未満又は入口部横径が11.5cm未満のもの) |
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11級の9
(準用)- 狭骨盤または比較的狭骨盤(産科的真結合線が10.5cm未満又は入口部横径が11.5cm未満のもの)
13級の3の3 | ・片方のこう丸を失ったもの (片方のこう丸の亡失に準ずべき程度の萎縮を含む) ・片方の卵巣を失ったもの |
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13級の3の3 - ・片方のこう丸を失ったもの
(片方のこう丸の亡失に準ずべき程度の萎縮を含む)
・片方の卵巣を失ったもの
その他の腹部臓器
その他の臓器には、肝臓・胆のう・すい臓・脾臓などがあります。
これらの臓器の後遺障害等級と認定基準についても細かく定められているので、「都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知」(胸腹部臓器の障害に関する障害等級認定基準について)を参考にしてください。
また、みらい総合法律事務所の無料相談をご利用いただくと、交通事故の実務に精通した弁護士がお答えします。
代表社員 弁護士 谷原誠